講演資料

2009年1月15日
 
民法(2)「家族法」資料
 
弁護士 駒 田 英 隆
 

第1 被後見人死亡のため、後見業務が終了した場合の遺産の引き渡しについて

1 遺言書の確認

(1)自筆証書遺言
遺言の方式(968条)
 
(2)公正証書遺言
遺言の方式(民法969条)
 
(3)被後見人でも遺言書を作成出来るか?
遺言書の作成には、意思能力が必要。よって、原則不可。
但し、要件を満たせば可能(973条)
 

2 遺言があるとき

遺言書に従い財産の引き渡し。
遺言執行者とは?
 

3 遺言書がないとき

(1)誰が相続人か?
 
①(相続人順位)第1順位  直系卑属
          第2順位  直系尊属
          第3順位  兄弟姉妹
      なお、配偶者は常に相続人になる。
(以上 民法886条~890条)
      内縁の夫や妻は、相続人か?
 
 
②(相続分割合)
   直系卑属及び配偶者が相続人の場合は、
各2分の1
 
   直系尊属及び配偶者が相続人の場合は、
直系尊属が3分の1
配偶者が3分の2
 
    兄弟姉妹及び配偶者が相続人の場合は
                   兄弟姉妹が4分の1
                    配偶者が4分の3
 
    直系卑属のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみの場合
                   その相続分は相等しい
     但し、被嫡出子がある場合は、その被嫡出子は、嫡出子の2分の1
        父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいる場合は、その兄弟姉妹は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1
                        (以上 民法900条)
 
③(代襲相続)
被相続人の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の子の子が相続人となる(887条2項)。
被相続人の子とその子の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の子の子の子が相続人となる(887条3項)。
以下の子についても同様(887条3項)。
 
    被相続人の兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の兄弟姉妹の子が相続人となる(889条2項)。
但し、被相続人の兄弟姉妹とその兄弟姉妹の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、その兄弟姉妹の子の子は相続人とはならない(887条2項)。
 
 ④ ここで問題!
    
 
 
(2)相続人が確定したらどうするのか?
 ① 遺産分割協議書が作成されていれば、その協議書に基づいて、各相続人に引き渡す。
  
② では、遺産分割協議書が作成されるまで時間がかかる場合は、どうするか?
 
ア 相続人全員に遺産を受け取る代表者を決定してもらい、その代表者に引き渡す。その際、署名捺印はもらうことが必要。
    
イ 上記方法が困難な場合の処理は?
この点、大阪家庭裁判所において、相続人の一人から遺産分割調停を申し立ててもらい、審判前の保全処分で財産管理人を選任してもらい、その者に遺産を引き渡した例もある。
でも、実際は?
 
 4 相続人がいない場合
   相続財産管理人選任の申立を行うか?
   相続財産管理人とは?
   
 
第2 被後見人生存中の家族法の知識
 
1 被後見人の財産が乏しくなった場合に、その親族へ扶養請求及び、被後見人の親族から、扶養請求をされた場合について
 
① 扶養義務者は誰か?
ア 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務を負う(877条1項)。
 
イ 特別の事情があるときは、三親等内の親族も扶養義務を負う(877条2項)
 
(ア)三親等内の親族とは?
   なお、配偶者との間には、親等はありません。
   ここで問題!
   
(イ)特別の事情があるときとは、「要扶養者の3親等内の親族に扶養義務を負担させることが相当とされる程度の経済的対価を得ている場合、高度の道義的恩恵を得ている場合、同居者である等の場合に限定して解することが必要で」あるという判例もある。
   基本的に判例は、三親等内の親族に扶養義務を設定する事例については、特に厳格に解している。
 
② 扶養の順位
ア 特段規程なし。
そこで、①生活扶助義務に対する生活保持義務の優位性、②親の未成熟子扶養、③同居の親族か否かなどを元に、協議、調停・審判によって決定される。
イ 生活保持義務とは、「扶養することが身分関係の本質的要素をなす場合には、相手方に自己と同程度の生活を維持する義務」。一般的は、夫婦間の扶養義務、親の未成熟子に対する扶養義務が、生活保持義務であるとされる。
ウ 生活扶助義務とは、「自己の生活に余裕がある場合に、その限度で、困窮に陥っている相手方の生活を援助する義務」。一般的には、兄弟姉妹が他の兄弟姉妹に対して負う扶養義務が、生活扶助義務であるとされる。
 
③ 扶養の要否・程度・方法
ア 要扶養状態か?
その判断は、一つの目安として「最低生活水準を下限としつつも、権利者・義務者間の諸事情の相対的・総合的均衡によって個別具体的に決せられるもの」である。
 
イ 扶養能力があるか?
(ア)生活扶助義務者については、「義務者が自己及びその共同生活下にあり、かつ当該扶養権利者よりも先順位にある扶養権利者の社会的地位に見合った従前の生活レベルを落とさず、さらにその他の先順位の扶養権利者への扶養を履行してなお余力のあるときにのみ具体的扶養義務が発生する」と解されている。
 
(イ)生活保持義務者について、基本的に扶養能力はあるものと判断されるものと思われる。
 
 ウ 扶養の程度
(ア)生活扶助義務における扶養の程度は、「義務者の扶養能力の枠内で達成しうる権利者の扶養需要(生活需要の中でそのもの自身の資産・労働によって満たし得ない部分)の程度」ということになる。
 
(イ)生活保持義務における扶養の程度は、「相手方に自己と同程度の生活を維持する程度」と考えられる。  
 
 
以 上
 
 
資料1 自筆遺言例
 
 1 私、遺言書蔵は、その遺産のうち、私が住んでいる家と土地を、相続する子に、私の家の斜め向かいの家と土地を、相続した蔵に、相続させる。
 
 2 私、遺言書蔵は、字がお世辞にも綺麗とは言えないので、パソコンで遺言を書いたけど、みんな守ってね。
 
                平成21年1月
   遺 言 書 蔵
 
横浜弁護士会所属 さくら横須賀法律事務所

神奈川県横須賀市米が浜通1丁目7番地2
サクマ横須賀ビル3階302